株式

発行可能株式総数(113条)と発行可能種類株式総数(114条)

発行可能株式総数

1.公開会社の4倍ルール(113条3項)

第113条(発行可能株式総数)
 株式会社は、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができない。
 定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。
 次に掲げる場合には、当該定款の変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。
 公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合
 公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合

1-1.公開会社が定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合(3項1号)

公開会社が発行可能株式総数を増加する場合、その定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍を超えることができません。

公開会社の4倍ルール

1-2.公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合(3項2号)

非公開会社が定款を変更して公開会社となる場合においても3項1号と同様のルールが規定されています。

公開会社の4倍規制
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2.発行可能株式総数の下限(113条4項)

第113条
 新株予約権(第236条第1項第4号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第282条第1項の規定により取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式(株式会社が有する自己の株式をいう。以下同じ。)を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。

2-1.自己株式がない場合

新株予約権者が新株予約権を行使して取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式の総数を控除して得た数を超えることができません。
以下の図では、新株予約権が行使できるように400株を確保しておく必要があるため、新たに株式を発行することができません。
この状態において、発行可能株式総数を1,000株より減少させることはできません。

発行可能株式総数

2-2.自己株式がある場合

発行済株式600株のうち、株式会社が自己株式として100株を所有しています。
この100株は、新株予約権が行使されたときに交付することができます。
新たに発行できる株式の数は100株です。

自己株式
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3.発行可能種類株式総数の下限(114条2項)

第114条(発行可能種類株式総数)
 定款を変更してある種類の株式の発行可能種類株式総数を減少するときは、変更後の当該種類の株式の発行可能種類株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における当該種類の発行済株式の総数を下ることができない。
 ある種類の株式についての次に掲げる数の合計数は、当該種類の株式の発行可能種類株式総数から当該種類の発行済株式(自己株式を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならない。
 取得請求権付株式(第107条第2項第2号ヘの期間の初日が到来していないものを除く。)の株主(当該株式会社を除く。)が第167条第2項の規定により取得することとなる同項第四号に規定する他の株式の数
 取得条項付株式の株主(当該株式会社を除く。)が第170条第2項の規定により取得することとなる同項第4号に規定する他の株式の数
 新株予約権(第236条第1項第4号の期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が第282条第1項の規定により取得することとなる株式の数

3-1.自己株式がない場合

発行可能株式総数の場合と同様の規定となりますが、新株予約権のほか、取得請求権付株式と取得条項付株式の対価となる株式の数についても考慮が必要です。

発行可能種類株式総数

3-2.自己株式がある場合

発行済種類株式400株のうち、株式会社が自己株式として100株を所有している場合です。

発行可能種類株式総数